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  • 執筆者の写真Ken Sugizaki

2023-24 レスター -Leicester City-

この記事を書き始めたら、まさかのEnzo Maresca監督がチェルシーに引き抜かれてしまいました。そのため、この記事はシーズンの振り返りかつ、チェルシーサポへの監督紹介にもなってしまいそうです(泣)


こんにちは、(オンラインサロンCiP生の)有田です。23-24シーズン、今シーズンはマイチームがチャンピオンシップに降格してしまったこともあり、今までほとんどと言っていいほど見ていなかったチャンピオンシップを追うことができて、面白さ半分、難しい時期もあり不安半分で、出会いと別れが多い複雑なシーズンでした。 最終的には元いた場所に戻ることができ、タイトルも獲得できた素晴らしいシーズンとなりました。


チャンピオンシップもプレーオフをサウサンプトンの勝利と言う形で全ての日程が終了したので、レスターシティの今シーズンの振り返りを記事にいたします。


アジェンダ

・シーズンサマリ 

・昨年度からの変化

 ・戦術  

・敵陣攻撃  

・自陣攻撃  

・敵陣守備  

・自陣守備

・来シーズンに向けて



シーズンサマリ

“Straight back up, straight back up Leicester City. Straight back up, I pray. Straight back up, straight back up… playing the Enzo way.”


レスターシティは23-24シーズンEFLチャンピオンシップを31勝、97ポイントで終え、見事優勝し、1年でのプレミアリーグ復帰を果たした。しかし、決して簡単なシーズンではなかった。


昨シーズンのプレミアリーグからの降格を受け、大きな変革が必要だった。今シーズンは、マンチェスターシティのアシスタントコーチを務めていたEnzo Marescaが新監督として就任し、彼の哲学がチームへどれほど浸透し成果を残せるのか、ファンは大きな期待と不安を抱いていた。


シーズン開幕戦では、ホームでコベントリー相手に先制を許し、大きな不安が広がった。しかし、試合終盤に今シーズンのチームのMVPであるKienan Dewsbury-Hall(KDH)が不安を打ち壊す2ゴールを決め、何とか辛勝した。その勢いのまま、シーズン開幕14試合で13勝を挙げ、2004年のリーグ改称以来のチャンピオンシップにおける最高スタートを記録し、2月までにレスターシティは2位のリーズに12ポイント差、3位のサウサンプトンに14ポイント差をつけていた。


しかし、その後の10試合で3勝しか挙げられず、一時は自動昇格圏内から脱落する危機に直面した。この苦境はピッチ内だけでなく、クラブはピッチ外でもプレミアリーグから利益と持続可能性に関する規則(PSR)違反の疑いで起訴されるなど、昇格への大きな不安が生じた。


そんな中でもチーム内での団結を深めた結果、その後プレーオフ圏内のウェストブロムウィッチ・アルビオン(WBA)に辛勝し、同じく昇格争いをしていたサウサンプトンに5-0と大勝することで、何とか勢いを取り戻した。そして、最終的には優勝という形でシーズンを締めくくることができた。


新たなスタートを切った23-24シーズンは序盤こそ好調だったものの、終盤には苦しい戦いを強いられた。それでも、チームの団結力で困難を乗り越え、見事優勝を果たした。



昨年度からの変化


チームの変化

サマリでも述べたが、23-24シーズンはマンチェスターシティからEnzo Maresca監督を迎え入れている。23年はBrendan Rogers, Dean Smithと二人の監督の解任もあり、大きな変革が求められていた。


Maresca監督はコーチングセンターで学んでいた時の論文が「Football and Chess」ということもあり、チェスプレイヤーのメンタリティ、つまり計画を立て、カウンターの動きを研究し、駒の配置を選ぶこと、Making moves (効果的な動きをする)を基本とし、ポジショナルプレーと戦略を重要視する。また研究熱心なことも言われており、対戦相手の分析や、チームの分析を自ら時間をかけて行う監督だ。


CLでの優勝を飾ったPep グアルディオラの指導をすぐそばで学んだ昨シーズン。どれほど良いチームをレスターで作れるか大きな注目が集まった。


選手の変化

23-24シーズンはJames MaddisonやYouri Tielemans, Harvey Barnesといったトッププレーヤーが放出された中でトッテナムからHarry Winks、WolvesからConor Coadyといった選手を新たに迎えた。


特にこの中でも今シーズンのKeyとなった選手は

GK Mad Hermansen

CMF Harry Winks

LW Stephy Mavididi

RW Abdul Fatawu

の4名だ。


(Callam DoyleやAkugunといったチームへ貢献したレンタル活躍した選手もいたが、来シーズンはreturnということもあり、この4名としている)


在籍選手はNdidiがDMFからIHへのコンバートや、昨シーズンほとんど出場がなかったVestergaardを主力に、Ricardo Pereiraの偽サイドバック(もともと右の大外という訳でもなかったですが、、)など、監督の戦術に合った選手のコンバートも行われた。


また、今シーズン現行契約としては最終年の37歳となったVardyはトップスピードの衰えはありつつも、戦術の適応のために相手を釣り出すポジション取りや、ワンタッチのはたきなど進化を続け、変わらず主力であった。


加えてチームアカデミーからはKasey MacteerやBen Nelsonなどの若手も積極的に起用している。


  • 主要移籍



 

戦術

キーワードは試合を支配することだ。(ボール保持率の数値を上げるという意味ではなく)


相手の戦術を深く分析し、相手に対して、微妙に自チームの配置を変えたり、相手をうまくつり出すことで配置を崩し、スペースや数的に優位を作る戦術を繰り広げる。


また、私は23-24シーズンのレスターはどちらかといえば守備のチームだと考えている。相手を敵陣へ押し込んでいくことで相手のチャンスの数を減らし、後ろに5枚(1-3-2-5の3-2の部分)を配置することで後ろに数的優位を作る。そして、自陣守備の際にウィングがかなり低い位置まで下がったり、センターミッドフィルダーが最終ラインまで落ちたりすることからもそのように考える。


以下、他の記事同様に4局面での特徴を記載する。


敵陣攻撃

1-3-2-5の形が攻撃の基本形である。


Mavididi, Fatawuといった、両方のサイドに逆足wingerを置き、共に仕掛けられる(時間を作れる)選手に対して、チームはビルドアップに置いて相手を動かすことで、スペースと時間を作りチャンスを生む。


ウイングがボールを持った際は

  • IHがポケットへ走り込み、素直に使う

  • 縦へ突破する

  • 中に切り込みクロスやシュート

と広い選択肢がある。


今シーズン、チームはどちらかといえば、左サイド側から組み立て、右サイドのFatawuに時間とスペースを作り、チャンスを作らせる展開が多かったため、その例を示す。


良くある攻撃パターンの一例



データとしても、Big chances createdの数字はチーム、リーグにおいてもFatawuが圧倒的にトップという結果が出ている。しかも、シーズン序盤はレンタルが決まったばかりで出場時間2826分(2位のRutterは3756分)と少ない中でもこの数値だ。


このガーナ出身のティーンエイジャーが、来シーズンのプレミアリーグで大暴れすることを期待したい。彼はお茶目でお祭り気質な性格もあり、ファンから非常に愛されている選手だ。たまに張り切りすぎて空回りすることもあるが、それもまた魅力の一つである。




  • PlanB: RicardoのIH化

右サイドバックをインサイドハーフの位置まで上げ、前線の枚数を増やすことで1-3-1-6の形を作る。

相手が5バックで守りを固めてきた場合、引いた相手から得点を奪うためにはスペースを作ることが難しい。そのため、前線の人数を増やして数的優位を作りに行く。


 

  • PlanC:Vestergaard , Faesの特攻(笑)

VestergaardやFaesらCBが自ら相手陣地深い位置まで特攻し、1-2-2-6のような形にする


ここは個人戦術なのかもしれませんが、Faes, Vestergaardは共に足元の技術が高いCB(Faesはスピードもある) かつ、やはり相手はCBの上がりに対して自分もマークを外してまでついていくことが難しいため、大きなチャンスを作れることが何度かあった。



自陣攻撃


  • 低い位置でのビルドアップ

基本形

RSBが中央のポジションに入り、CMの役割を果たす1-3-2-5を形成する。キーパーもビルドアップに参加することで人数の優位を作る。特にWinks(もしくはRicardo)がボールを振り分ける重要な役割をこなす。その際、もう一人のCMが横でボールを受けられる位置をとる。


ボールを縦に動かし、相手をつり出したことで空いたスペースを狙う。:

  1. CMからCBにボールを落とし、IHの空いたスペースへ進む。

  2. FWは下がってボールをはたく。今シーズンFWのスタメンは、ケガやアフコンなどでなかなか定まらずでしたが、結局37歳を迎えたVardyが、この年齢でも進化を重ねて、レギュラーを勝ち取っていた。(もちろんここだけがスタメンの理由ではありませんが)

  3. 加えてその際に裏が空くのであれば、IHが積極的に狙う。 最終ラインからやキーパーからでも一気に狙って行くこともある。


RCBは右ワイドの位置に移動することで、相手のウイングを外側につり出す。


良い点:

  • 相手が前からプレッシャーをかけてきた際にそれを剥がすことができれば、一気に大きなチャンスを作れる。

  • 相手がプレッシャーをかけられないと判断し、引くことになれば、高い位置へのビルドアップが容易に進められる。

  • CMとIHの4枚を中央に配置し、FWが下りてきて+1をすることで、中央に人数の優位性を作れる。

  • GKやLCBが足元の技術で数的優位を作り、一発で裏に蹴ることでチャンスも作れる。


弱点:

  • CMを徹底的に潰しに行かれた際にボールを失って失点するリスクがある。(Winksが上手いためあまりありませんが、相手の守備がより強く早い場合は懸念ポイントです)

  • ミスをした際の代償が大きい。


例:


 

  • 高い位置でのビルドアップ

Vestergaardは昨シーズンほとんど出場機会がなかったにもかかわらず、今シーズンはリーグのシーズンベスト11に入るのではないか?と言ったレベルでの活躍をした。今シーズンのレスターは彼がいなければここまで上手く攻撃が回らなかっただろう。攻撃の起点となり、効果的な縦パスや一つ飛ばした精度の高い長いパスを行っていた。


また、ここでもWinks、Ricardoがいかに相手のCMを釣りだし、No.8やウインガーへスペースを作れるか、うまくボールを捌けるかが重要であり、この二人は互いに近い位置をとり、Winksに入れてワンタッチでRicardoへ横パスし、前を向いてRicardoが運ぶなどで打開するシーンなども多くみられた。


例:



敵陣守備

マンツーマンが基本のハイプレスを好みます。(PPDAはリーグでも上位)


こちらはリーグは違うが、参考値として、シーズンのOpta statsのZONES OF CONTROLを以下に示す。マンチェスターシティやアーセナル同様に広い範囲での支配を示しており、相手陣地へ押し込めている、高い位置から相手を自由にさせていないようなことを示している。(右サイドバックを中央に配置することに伴い、右サイドが少し手薄になっているところも特徴的だ)

 


プレスのかけ方は、自分のマークのコースを切りながらプレスをかけて、数的優位の作れる場所や中央の狭いスペースへ誘導し、奪い切るような刈り取り方だ。


相手が数的に優位を作るためにFWが降りてきた際には、こちらはCBだろうと前に出すことを厭わず、前に出る守備をする。


そのため弱点は一つ明確で、CBの裏となる


CBは相手のFWに対してマンツーマンでついていくため(相手が低い位置に降りた時やサイドに流れた時もガンガンついていく)、FaesやVestergaardがぶち抜かれたらHermansenに全てをたくすハメに。プレミアリーグで戦うために、個人的には来シーズンCB特に最後の砦のところは最優先の補強ポイントだと考える。FAカップでのJacksonとの対峙などを見るに、少しこのままだと厳しいのではないかと感じる。(サリバやファンデフェンなどのようなCBが欲しい。(無理))



自陣守備

守備時には右サイドバックが元の位置に戻り、1-4-4-2(KDHが前に)または1-4-5-1の形を作る。


最終ラインは中央を固めるようにセットされるため、大外の守備については、右側ではFatawuがかなり低い位置まで戻って守備を行い、左側ではJJが出たところをWinksが最終ラインのセンターバックとサイドバックの間に降りてカバーする。このため、一時的に1-6-3-1のような形になることもある。


チームは、陣形が整った時の守備は非常に安定しているが、失点パターンの多くは以下の状況に起因していると感じている。

  • ビルドアップのミスによるショートカウンター

  • ハイプレスを受けて裏を取られ、ビッグチャンスを作られる

  • セットプレーの流れ

  • 密集地帯でのディフレクション


特筆すべきは、1対1のシチュエーションが多かったにもかかわらず、失点数は最少であり、xG AgainstはLeedsに次いで低いことである。xG Againstがリーグ2番目に少ないにもかかわらず、キーパーのGoal PreventedでHermansenが一位を取ってしまうのは、なんとも面白い話なのではないか。

 




来シーズンへ向けて

マレスカ監督抜かれて困った。ポッター来てくれ〜(泣)


他にもさまざまな選手の契約の延長話や、CBや右IH、FWの補強話、セットプレーなど書きたかったのですが、監督が変わってしまうので、一旦単純なコメントだけになりますが、

チェルシーサポーターの皆さま、

一部のレスターファンからなぜかマレスカ監督の批判がありますが、降格したチームに対してプレシーズンから哲学を落とし込み、チームを改革し、優勝まで導いた素晴らしい監督だと私は思っています。こちらの記事もあくまで個人の見解ですが、SNSでの「監督の説明書」などの個人の都合の良い解釈だけに思い込み過ぎず、昨シーズンのレスターの試合やこれからのプレシーズンの試合を見て、マレスカ監督の良さを知っていただければと思います。


そしてレスターのサポーターの皆さま、

Maresca監督へ大きな敬意と感謝を送りつつ、フロント様が良い監督を連れてきてくれることを祈りましょう。Maddisonがコメントしてくれたように、レスターシティは現在、プレミアリーグに復帰したビッグクラブです。


優勝シーズンのように、確実に40ポイントを積み上げることを目指し、プレミアリーグの残留を目指しましょう。(40ポイントにPSRで引かれた勝ち点分追加で取らないといけないかもしれませんが…)


また23-24シーズンを楽しませてくれた選手、スタッフ、チームに関わる全ての皆さまに賞賛と感謝をして、来シーズンも応援しましょう。

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